Obsidian 1.14で、Bases機能に公式のカンバンビューが追加されました。「これでBase Boardはもう使わなくていいのでは?」と思った方もいるのではないでしょうか。実際に私もそう感じたうちの一人です。
ただ、結論から言うと、両者には明確な一長一短があります。公式カンバンは追加プラグインなしで使える手軽さが魅力ですが、カード単位の手動並び替えには対応していません。一方のBase Boardは手動並び替えができる代わりに、Basesの標準ソート機能とは併用できないという制約があります。
この記事では、公式カンバンビューとBase Boardプラグインの機能差を比較し、どちらを使うべきかの判断基準を整理します。
- 公式カンバンビューとBase Boardの機能の違い
- 手動並び替え・ソート・タグ絞り込みでの使い分け方
- Obsidian 1.14統合時に起きた互換性トラブルの顛末
Obsidian 1.14の公式カンバンビューとは
公式カンバンビューは、Obsidian 1.14.0(2026年9月2日リリース)でBasesの新しいレイアウトとして追加されました。使い方はシンプルです。「Group by」でフロントマターのプロパティを1つ選ぶと、その値ごとにカラムが自動生成されます。カードをドラッグして別カラムへ移動すると、裏側ではそのプロパティの値が書き換わる仕組みです。
ここで注意したいのが、カラム内でのカードの手動並び替えには対応していないという点です。ドラッグできるのはカラムをまたぐ移動のみで、同じカラム内で「この順番にしたい」という並び替えはできません。一方でカラム自体の並び順はドラッグで変更でき、Groupメニューから元の自動並びに戻すことも可能です。
カードが1枚もないカラムを一覧から消したい場合は、「Hide empty columns」という設定をオンにします。デフォルトでは空のカラムもそのまま表示される仕様なので、見た目をすっきりさせたい方は設定を確認しておくとよいでしょう。
なお、formula(数式)プロパティや、ファイル階層以外のプロパティでグルーピングした場合は、カードやカラムの移動、カードの新規作成ができなくなる制約があります。グルーピングするプロパティは、ステータスやカテゴリーなど素直な値を選ぶのが無難です。
2026年10月5日リリースの1.14.4では、カラムを右クリックで非表示にする「Hide column」や、リンク候補からカラムを追加できる「Add group」コマンドが追加されました。対応プラットフォームはデスクトップ・モバイル両方です。

Base Boardプラグインとは
Base Boardは、mderazon氏が開発するサードパーティのコミュニティプラグインです。本記事執筆時点の最新バージョンは2.6.1(2026年10月9日リリース)で、Obsidian 1.10.2以上に対応、モバイルでも利用できます。
公式カンバンとの最大の違いは、カラム内でカードを手動で並び替えられることです。並び順はkanban_orderという専用プロパティに保存され、ドラッグした通りの位置にカードが固定されます。
ただし見逃せない注意点があります。この手動並び順は、Basesのネイティブな「Sort by」設定を上書きしてしまう仕様です。つまり、Base Boardで手動並び替えを使うと、別のプロパティを基準にした自動ソートとは併用できません。手動並び替えか自動ソートか、どちらか一方を選ぶ必要があります。
主な機能は以下の通りです。
- タグチップ+フィルタバー:カードに色分けされたタグが表示され、クリックするとボード全体をそのタグで絞り込める
- インライン編集:カードやカラムのタイトルをその場でリネームできる
- WIP制限:カラムごとに件数の上限を設定し、超過すると赤くハイライト表示される
- カラムの折りたたみ:使わないカラムを畳んでスペースを節約できる
- カバー画像表示:画像用プロパティを指定すると、カード上部にサムネイルが表示される
- ワンクリックでの新規カード作成:カラムヘッダーの+ボタンから直接カードを追加できる

カードをクリックしたときの挙動にも触れておきます。デフォルトではアクティブなタブでノートが開く、通常のObsidianと同じ動作です。ワークスペース上に浮かせた編集モーダルで開きたい場合は、ツールバーの表示オプションから切り替える必要があります。「クリックすれば常にモーダルが開く」というわけではない点は、覚えておくと迷わずに済みます。
比較表で見る機能差
ここまでの内容を表にまとめました。
| 項目 | 公式カンバン(Bases内蔵) | Base Board |
|---|---|---|
| カラム内の手動並び替え | 不可 | 可(kanban_orderで保持) |
| 自動ソートとの併用 | 可 | 不可(手動並び順がSort by設定を上書き) |
| カラムの並び替え | 可(ドラッグで変更、自動並びに復元可) | — |
| 空カラムの表示 | 設定でオン・オフ切り替え可(デフォルトは表示) | — |
| タグでの絞り込み | 専用UIの記載は見当たらず | タグチップ+クリックで絞り込むフィルタバーあり |
| カードクリック時の挙動 | 未確認(執筆時に実機確認推奨) | デフォルトはタブ表示、設定でモーダル表示に変更可 |
| WIP制限・カラム折りたたみ・カバー画像 | なし | あり |
| 対応プラットフォーム | デスクトップ・モバイル | デスクトップ・モバイル |
| 開発形態 | Obsidian公式(Basesの一ビュー) | サードパーティのコミュニティプラグイン |
こうして並べると、Base Boardの方が機能は豊富です。ただし、その分だけ覚えることも増えます。シンプルさを取るか、柔軟さを取るか。次の章で、実際の判断基準を整理します。
結論:どっちを使うべき?
やりたいことに応じて、以下のように考えるとシンプルです。
- 手動並び替えをしたい → Base Board一択。公式カンバンにはこの機能自体がありません
- タグでの簡単な絞り込みをしたい → Base Board。フィルタバーが標準搭載されています
- 自動ソート機能を使いたい → 公式カンバン。Base Boardは手動並び替えを使うとソート設定が効かなくなります
迷ったら、この3つだけ見れば十分です。
追加プラグインを増やしたくない、まずはBasesの機能だけで試したいという方は公式カンバンから始めるとよいでしょう。一方、「この順番で管理したい」「タグでサクッと絞り込みたい」という要望があるなら、Base Boardを導入する価値は十分にあります。私個人の意見としては、タグでの絞り込みが結構便利な分、ソート機能が使えないのが悩ましいところです。
公式カンバン統合で起きた一時的な互換性トラブル
ここで、Base Boardユーザーなら知っておきたいエピソードを紹介します。
Obsidian 1.14で公式カンバンが追加された際、実はBase Boardの表示が一時的に壊れる問題が発生しました。原因は単純で、当時のBase Boardが公式カンバンと同じkanbanというビュータイプ名を使っていたためです。公式側が後から同じ名前を採用したため、既存のBase Boardボードが公式カンバンビューとして開かれてしまいました。結果として、見た目が崩れてしまったのです。
この問題はBase Board側のアップデートで解消されています。2026年10月9日リリースのv2.6.0で、Base Board専用の一意なビュータイプbase-boardとして登録し直されました。これにより、公式カンバンとBase Boardは同じVault内で共存できるようになっています。
もし過去に作成したボードが公式カンバン表示に変わってしまった場合は、コマンドパレットから「Base Board: Migrate legacy views」を実行してください。旧形式のボードを検出し、Base Board用の表示に変換してくれます。
旧来のKanbanプラグインとの位置付け
カンバン系プラグインといえば、以前から定番だった「Kanban」(mgmeyers作)を思い浮かべる方もいるかもしれません。こちらは独自のMarkdownリスト形式でボードを1ファイルとして管理する、公式カンバンやBase Boardとは異なるアプローチのプラグインです。
ただ、開発者本人が2026年1月12日付で「メンテナンスの余力がない」と表明し、新しいメンテナーを募集している状態が続いています。現行バージョンは2.0.51のまま更新が止まっており、後継としては有志によるフォーク「Kanban Starlane」が活発に開発を続けています。
設計思想の違いを整理すると、こうなります。旧来のKanbanは「ノートそのものがカンバン」という発想です。対して公式カンバン・Base Boardは「既存のノートに対するビュー」という発想で、ノート自体はあくまで独立したMarkdownファイルのまま、カンバンという見た目を後から重ねている形になります。すでにDataviewやBasesでプロパティ管理をしている人にとっては、後者の方が馴染みやすいはずです。
まとめ
公式カンバンは、追加プラグインなしで今すぐ使える手軽さが魅力です。一方のBase Boardは、手動並び替えやタグ絞り込みといった柔軟さで一歩リードしています。
どちらが優れているというより、やりたいことに合わせて選ぶのが正解です。まずは公式カンバンで試してみて、物足りなさを感じたらBase Boardの導入を検討する、という順番でも遅くはありません。
Obsidian Base Boardの使い方|プロパティ駆動カンバンでブログ管理を可視化する
— Base Boardをブログ管理に実際に使ってみたい方向け
