Obsidian Dataviewの使い方完全ガイド|クエリの基本からBases連携まででは、「Dataview(読み取り専用の集計)・Bases(GUIでのプロパティ編集)・Base Board(ドラッグ&ドロップでの状態遷移)」という3つの役割分担を紹介しました。今回はその中の「状態遷移」、つまりカンバン形式での可視化管理を、実際のブログ管理・タスク管理の運用に落とし込んで解説します。
「ステータス変更のたびにフロントマターを手打ちするのは面倒……」と感じたことはありませんか? Base Boardを使えば、カードをドラッグするだけでプロパティが書き換わります。セットアップから実践例、そして最近話題になっている公式Kanban機能との違いまで、まとめて見ていきましょう。
なぜ今、Base Boardなのか
Base Boardの話をする前に、押さえておきたい動きが2つあります。ひとつはObsidian本体側の動き、もうひとつは従来の定番プラグインの動きです。どちらも「なぜ今Base Boardを選ぶのか」に直結する話なので、先に整理しておきます。
Obsidian 1.14のネイティブKanbanとの関係
Obsidian 1.14(2026年9月2日リリース)で、コアのBases機能に公式のKanbanレイアウトが追加されました。実はこれ、Base Boardと同じkanbanという識別子を使っているため、両者が衝突する不具合が発生しています。GitHub上でも報告されており(Issue #62)、本記事執筆時点ではまだ未解決です。
とはいえ、慌てて乗り換える必要はなさそうです。公式Kanbanは現時点でアーリーアクセス段階にあり、公式ヘルプでも「Obsidian 1.14が必要(現在アーリーアクセス中)」と明記されています。しかもこのアーリーアクセスは現状、Catalyst会員(早期アクセス有料枠)向けにデスクトップ・モバイル双方で提供されている段階です。つまり、一般ユーザーがすぐに触れる機能ではありません。機能面でも発展途上です。グルーピングは単一プロパティのみで、カード自体は別カラムへドラッグできるものの、同一カラム内での手動並び替え(独自のソート順保持)には対応していません。空カラムを非表示にする設定こそありますが、細かい表示制御はまだこれからという印象です。
一方のBase Boardは、kanban_orderプロパティによる手動並び替え・インライン編集・フローティングエディタでの本文プレビュー・メタデータチップ表示などに対応済み。無料で今すぐ使え、実用面での完成度も高いという点で、現時点では明確なアドバンテージがあります。
定番プラグイン「Kanban」からの乗り換え先として
もうひとつの背景が、従来の定番プラグイン「Kanban」(mgmeyers作)の停滞です。GitHub上で新しいメンテナーを公式に募集しており、リポジトリもcommunity-archive組織へ移管済み。未処理のIssueも500件を超えています。
独自のMarkdownリスト形式でタスクを管理する従来のKanbanに対し、Base Boardは「既存ノートのフロントマターをそのまま使う」設計です。すでにDataviewやBasesでプロパティ管理をしている人ほど、移行のハードルは低いはずです。
Base Boardの基本:セットアップと主な機能
Base Boardの導入はシンプルです。コミュニティプラグイン検索から「Base Board」を探してインストールするか、最新機能を試したい場合はBRAT経由で導入します。有効化したら、コマンドパレットから新規ボードを作成するだけで準備完了です。
主な機能は次の通りです。
- プロパティ駆動のカラム生成:指定したフロントマターのプロパティ値ごとに、自動でカラムが生成される
- ドラッグ&ドロップでのフロントマター自動更新:カードを別カラムへ移動すると、該当プロパティの値が自動で書き換わる
kanban_orderによる並び順管理:同一カラム内でのカード順序を独自プロパティで保持- インライン編集・フローティングエディタ:カードをクリックすると、ノートを離れずに本文を編集・プレビューできる
- メタデータチップ表示:タグやその他のプロパティをカード上にラベルとして表示
対応バージョンはObsidian 1.10.2以上です。導入前にバージョンだけ確認しておきましょう。
実践:ブログ管理をカンバンで可視化する
私のVaultでは、ブログ記事のステータスをinbox(未整理)→progress(進行中)→draft(下書き)→public(公開)→archive(アーカイブ)の5段階で管理しています。このstatusプロパティをそのままBase Boardのグルーピング対象にするだけで、5列のカンバンボードが完成します。
執筆が進んで校正待ちになった記事をカードごと「draft」列から「public」列へドラッグすれば、フロントマターのstatusが自動で書き換わります。QuickAddの専用マクロ(Blog Statusマクロ等)による一括変更は定型処理向きです。一方Base Boardは、「今どの記事がどの段階にあるか」を一覧しながら、感覚的にステータスを動かしたいときに向いています。両者は競合しないため、用途に応じて使い分けるのがポイントです。
私は普段、QuickAddのBlog Statusマクロから変更する方法を活用しています。というのも、ステータスを変えたいノートはほとんどの場合、修正・追記のために必ず開いているため、その編集作業が終わったタイミングでマクロを呼び出してステータスを変更しているからです。
実践:タスク管理をカンバンで可視化する
タスクノートでも考え方は同じです。優先度や締切日といったプロパティをカラムに割り当てれば、進行状況をひと目で把握できるボードになります。
コミュニティフォーラムでは、実際の運用シーンに即した要望も挙がっています。たとえばプラグイン公開スレッドでは、あるユーザーから次のような要望が挙がっていました。「タスクファイルのファイル名はsys-vault-cleanupのような機械的なスラッグだが、人間が読みやすいタイトルはフロントマターの別プロパティに持たせている」ため、カード表示をファイル名でなくそのプロパティに切り替えたい、というものです。この声に応える形で、カードのタイトル表示に使うプロパティを指定できる「Card title property」設定が用意されています。同じスレッドでは、各タスクの所要時間(size_h等)をカラムごとに合計して見出しに表示したい、という声も上がっており、負荷の可視化ニーズの高さがうかがえます。
Dataviewとの役割分担
完全ガイドでも触れた通り、DataviewとBase Boardは競合するツールではありません。Dataviewは複数のノートを横断して集計・監視する「読み取り専用」の役割。Base Boardはカードをドラッグして状態そのものを変える「書き込み」の役割です。
たとえば「進行中のタスクを一覧して期限順に並べる」のはDataviewの得意分野、「タスクの状態をその場で切り替える」のはBase Boardの得意分野、というすみ分けになります。次回のDataViewJS深掘り編では、この集計側をさらにコードで拡張する方法を扱う予定です。
他のカンバン系プラグインとの違い
従来の「Kanban」プラグインは、ノート内に独自のMarkdownリスト形式でタスクを書き込む方式でした。ボード自体が1つのノートになるため、他のプロパティ管理システムとは独立して運用する必要があります。
対してBase Boardは、Bases機能を土台にした「既存のノート+フロントマター」をそのまま可視化する方式です。2026年時点では、Bases向けのカンバンビュープラグインが他にも複数登場しており(Kanban Bases View、Bases Kanbanなど)、選択肢自体が増えている状況です。細かな機能差を比較しすぎるよりも、「Base Boardは初期から人気のある選択肢のひとつ」という立ち位置を押さえておけば十分でしょう。
まとめ
Base Boardは、既存のプロパティ管理に「カンバンという見た目」を被せるツールです。Dataviewでの集計・監視、Basesでの一覧編集、Base Boardでのドラッグ&ドロップという3つの役割を組み合わせることで、Obsidian内のブログ管理・タスク管理が一段と直感的になります。
公式のBases Kanbanが今後どう発展していくかは注目ですが、少なくとも現時点ではBase Boardに分があると言えそうです。次回は、DataviewJS深掘り編として、コードでできることをさらに掘り下げていきます。
Obsidian Dataviewの使い方完全ガイド|クエリの基本からBases連携まで
— DQL・Basesの基本から知りたい方向け
