前回の記事「MOCと検索の使い分け方|Obsidianで迷わないための基準」では、検索とMOCの役割の違いについてお話ししました。「検索は探す場所が分かっているときにしか機能しない」「MOCはVaultの案内図になる」という点は、なんとなく腑に落ちた方も多いのではないかと思います。
ただ、実際にMOCを作ろうとすると、次にこんな疑問にぶつかります。
「MOCって、結局どうやって作ればいいんだろう」
実はMOCには、大きく分けて2つの作り方があります。この記事では、その2種類を「索引型」と「テーゼ型」と呼んで整理し、それぞれの特徴と、自分にはどちらが合っているかを一緒に考えていきたいと思います。
MOCの2大アプローチ:「知識の倉庫」と「思考の工場」
MOCと一口に言っても、目的によって作り方はまったく変わってきます。この2つを、次のようなイメージで捉えると分かりやすいと思います。
- 索引型MOC:ノートを整理し、後で探しやすくするための「知識の倉庫」
- テーゼ型MOC:自分の考えをまとめ、記事や成果物へと育てていくための「思考の工場」
倉庫は「モノをしまって、必要なときに取り出す」場所です。一方、工場は「材料を持ち込んで、何かを作り出す」場所ですよね。MOCも同じです。「保管・網羅」が目的なのか、「主張・アウトプット」が目的なのかによって、作り方も更新の仕方もまったく違うものになります。
どちらが優れているという話ではありません。目的が違うだけなので、両方を使い分けている方も多いはずです。まずは具体的にどのような違いがあるのか、全体像を比較表で確認しましょう。
【一覧比較】索引型MOC vs テーゼ型MOC
| 項目 | 索引型MOC | テーゼ型MOC |
|---|---|---|
| 目的 | ノートの網羅・保管・検索性の向上 | 自分の主張をまとめ、アウトプットへつなげる |
| 更新頻度 | 新しいノートを作るたびにこまめに更新 | 考えがまとまるタイミングで随時更新 |
| 構造 | フラットなリンク一覧が中心 | 「主張」を見出しにして、根拠となるノートを紐づける |
| 向いている人 | 情報を後から探しやすくしたい人 | 自分の考えを記事やレポートに落とし込みたい人 |
| ゴール | 「あの情報、どこに書いたっけ」がなくなること | MOCがそのまま記事や資料の下書きになること |
💡 索引型から始めて、慣れてきたらテーゼ型を取り入れる、という段階的な使い方も可能です。詳しくは記事後半の「自分にはどちらが向いている?」でお話しします。
【実践1】索引型MOC:ノートを迷子にしない「知識の倉庫」
私自身、普段のObsidian運用はこの索引型MOCが中心です。使い始めのころはノートも少なく、探すのも簡単でした。しかしノートが増えてきた頃に索引型MOCを作ることで、目次の役割を果たし、たどりやすくなりました。
まずは索引型がどういったものなのか確認しましょう。
どんなときに作るか?
索引型MOCが向いているのは、次のような場面です。
- 特定のトピック(例:コーヒー、Tasker、ETS2のMod)に関するノートが増えてきて、一覧性がほしいとき
- あとで「あのトピックについて何を書いたか」をざっと見返したいとき
- まだ自分の意見はまとまっていないが、とりあえず情報を集めておきたいとき
要するに、「今すぐ結論を出す必要はないけれど、散らばった情報をひとまとめにしておきたい」というときに作るMOCです。
最小限から始める作り方(手動リンク→Dataview自動収集)
いきなり複雑な仕組みを作る必要はありません。私も最初は、こんな形の手動リンクから始めました。
# コーヒー関連MOC
## ドリッパー
- [[ドリッパー比較記事の下書き]]
- [[Tritan Flower Dripperのレビュー]]
## 抽出方法
- [[アイスコーヒーの淹れ方メモ]]
- [[ハンドドリップの温度管理について]]
たったこれだけです。関連するノートへのリンクを3行、見出しの下に並べるだけで、立派なMOCとして機能します。
ノートの数が増えてきて手動でのリンク管理が大変になってきたら、DataviewプラグインやSimilar Notesプラグインを使った自動収集への切り替えを検討しましょう。なかでもDataviewは、特定のタグやフォルダを条件に該当するノートを自動でリストアップしてくれるため重宝します。
💡 DataviewやSimilar Notesはコミュニティプラグインのため、導入前に現在の更新状況を確認しておくと安心です。
参考記事:散らかったObsidianを卒業しよう。ノート管理が楽になるプラグイン活用術
ノートが増えたときの「階層化(サブMOC)」テクニック
トピックがさらに広がってくると、1つのMOCだけでは収まりきらなくなってきます。そんなときは、MOCを階層化するのがおすすめです。
- 「Software MOC」の中に「Obsidian MOC」といったサブMOCを作る
- さらにブログ全体を俯瞰する「Home MOC」を作り、各トピックのMOCへのリンクをまとめる
こうしておくと、Vaultがどれだけ大きくなっても「Home MOCから辿れば必ずたどり着ける」という安心感が生まれます。


【実践2】テーゼ型MOC:アイデアを記事・成果物に育てる「思考の工場」
ここからはテーゼ型MOCについてです。正直に言うと、私自身はまだこの型をきちんと運用したことがありません。そのため、このセクションは私の実体験ではなく、調べた範囲での一般的な手法として紹介します。索引型のような「まず試してみた実感」ではなく、「こういうやり方があるらしい」という距離感で読んでいただければと思います。
どんなときに作るとされているか?
調べた範囲では、テーゼ型MOCは次のような場面で活用されることが多いみたいです。
- 集めた情報から、自分なりの結論や主張を出したいとき
- ブログ記事やレポートなど、アウトプットの形にまとめたいとき
- 複数のノートに散らばった根拠を1つの「主張」の下に整理したいとき
索引型が「集める」ことに主眼を置くのに対し、テーゼ型は「集めた情報から何かを生み出す」ことに主眼を置く、という違いがあるようです。
「主張」を見出しにして命題を集めるステップ(一般的な手法・具体例付き)
テーゼ型MOCは次のような形で作られることが多いようです。
# 主張:索引型MOCは「増やす」、テーゼ型MOCは「絞る」
## 根拠1:構造の違い
- [[索引型MOCはフラットなリンク一覧になりやすい]]
- [[テーゼ型MOCは主張ごとに階層化される]]
## 根拠2:更新のタイミングの違い
- [[索引型MOCはノート作成のたびに更新される]]
- [[テーゼ型MOCは考えがまとまったときに更新される]]
## 結論
両者は対立するものではなく、索引型で集めた情報をテーゼ型で絞り込む、という
連携関係にあるのではないか。
見出しに「主張」を据え、その下に根拠となるノートへのリンクを並べていく構成です。索引型のように「トピック」で見出しを作るのではなく、「自分の意見」で見出しを作るという点が最大の違いだと言えそうです。この形式が、以下の項目に繋がる感じですね。
テーゼ型MOCがそのまま「記事の目次・下書き」になる仕組み
このスタイルで作られたMOCは、見出しがそのまま記事の章立てに近い形になります。「主張」がH1やH2に、「根拠」が本文の材料になる、というイメージです。私自身はまだ試せていませんが、記事の企画案を作る作業に近いものがあるのではないかと感じています。実際に取り入れてみたら、また改めてこのブログで報告したいと思います。

テーゼ型の考え方を、ツリー構造で表すと次のようになります。
■ テーゼ(核となる主張)
└─ 「毎朝15分の散歩が、一日の作業効率を最大化する」
├─ 【支持理由(サブテーゼ)】日光浴による覚醒と集中向上
│ ├─ [実践ノート] 集中力の変化の自己観察
│ └─ [読書メモ] セロトニン分泌の仕組み
│
└─ 【対立意見(アンチテーゼ)】朝の睡眠時間が削られる負担
├─ [日記ノート] 夜更かしで起きられず挫折した日
└─ [統合ノート] 就寝時間を30分早める工夫(ジンテーゼ)
自分にはどちらが向いている?簡単なセルフチェック
ここまで2つの型を見てきましたが、「結局どちらを使えばいいのか」と迷う方もいるかもしれません。どちらか一方に決めつける必要はありませんが、次の質問を自分に投げかけてみると、今の自分に合ったスタイルが見えてくるはずです。
- 情報を後で探しやすくしたいですか? or 自分の考えをまとめて発信したいですか?
- ノートを増やすこと自体が今の目的ですか? or ノートから何かを生み出すことが目的ですか?
- 今のあなたのVaultは、まだ情報を集めている段階ですか? or そろそろ何かにまとめたい段階ですか?
もし両方に当てはまると感じた場合は、無理に一方を選ぶ必要はありません。まずは索引型で情報を集め、ある程度たまってきたところでテーゼ型に発展させる、という段階的な使い方もひとつの選択肢です。
まとめ
MOCには「知識の倉庫」としての索引型と、「思考の工場」としてのテーゼ型という、2つの異なるアプローチがあります。索引型はノートを網羅し探しやすくすることが目的で、テーゼ型は自分の主張をまとめアウトプットへつなげることが目的です。
私自身は索引型を中心に運用していますが、今回調べてみてテーゼ型の考え方にも興味が湧きました。もし今のあなたが「情報を整理したい」段階なら索引型から、「考えをまとめて発信したい」段階ならテーゼ型から、それぞれ手元の関連ノートを3枚並べるところから始めてみてはいかがでしょうか。
- MOCと検索の使い分け方|Obsidianで迷わないための基準
— MOCを作る前に、そもそも検索とMOCをどう使い分ければいいか整理したい方向け - 散らかったObsidianを卒業しよう。ノート管理が楽になるプラグイン活用術
— 索引型MOCの手動リンクをDataviewなどで自動化し、ノート管理全体を楽にしたい方向け
